脳血管障害の治療最前線《アクチュアル　脳・神経疾患の臨床》

脳血管障害(脳卒中)は加齢と密接な関係があり，超高齢社会を迎えたわが国ではその予防・治療は今まで以上に大きな課題となっている．本書は「脳卒中治療ガイドライン2009」に準拠しながら，より新しい治療法にも言及し，さらに神経内科から脳神経外科へのコンサルテーションやリハビリについても専門家が解説．脳卒中の内科的・外科的治療についてあますところなく網羅している必携書である．

【目次】

I. 脳血管障害の疫学，社会医学，病型分類
　脳血管障害の動向と危険因子の推移　（清原　裕）
　脳血管障害の社会的負担と支援の取り組み　（長谷川泰弘）
　脳血管障害の病型分類法と問題点　（上田雅之，片山泰朗）

II. 脳血管障害の緊急評価，救急検査
　脳血管障害の救急搬送システム　（高木　誠）
　救急外来でのバイタル評価・神経学的診察　（佐々木貴浩）
　脳卒中評価スケール　（寺山靖夫）
　頭部CTとCT angiography　（平野照之）
　頭部MRIとMR angiography　（山田　惠）
　緊急超音波検査　（金田　智）
　脳血管障害急性期の診断と治療に必要な血液検査　（長尾毅彦）
　脳血管障害による脳死の臨床　（鳥居正剛，塩川芳昭）

III. 脳梗塞・一過性脳虚血発作の治療
　虚血性脳血管障害の病型と病態　（佐々木貴浩，荒木信夫）
　一過性脳虚血発作　（鈴木理恵子，峰松一夫）
　血栓溶解療法　（星野晴彦）
　機械的血栓除去術の適応　（植田敏浩）
　急性期血管形成術・ステント留置術　（早川幹人，松丸祐司）
　アテローム血栓性脳梗塞の急性期治療　（棚橋紀夫）
　ラクナ梗塞の急性期治療　（卜部貴夫）
　心原性脳塞栓症の急性期治療　（前田亘一郎，岡田　靖）
　急性期脳浮腫管理法と開頭減圧療法の適応　（堀口　崇）
　脳保護療法の適応と臨床効果　（阿部康二）
　branch atheromatous disease（BAD）　（山本康正）
　動脈原性脳塞栓症および境界領域梗塞　（伊藤義彰）
　頭蓋内・外の脳動脈解離　（山脇健盛）
　奇異性脳塞栓症　（松本典子，木村和美）
　大動脈疾患と脳血管障害　（濱田潤一）
　脳静脈・静脈洞血栓症　（北川一夫）
　トルーソー症候群　（野川　茂）
　もやもや病（ウィリス動脈輪閉塞症）　（黒田　敏）
　若年性脳梗塞　（北川泰久）
　再発予防のための抗血小板薬　（山崎昌子，内山真一郎）
　再発予防のための抗凝固療法　（高嶋修太郎）
　頸動脈内膜?離術とステント留置術　（坂井信幸）
　EC-ICバイパス術　（小笠原邦昭）
　脳梗塞再発予防のためのリスク管理　（田口芳治，田中耕太郎）
　無症候性脳梗塞および無症候性頸部頸動脈狭窄・閉塞　（三村秀毅，井口保之）

IV. 脳出血の治療
　高血圧性脳出血の急性期非手術的治療法　（宮城哲哉，豊田一則）
　脳出血の手術適応　（安井信之，鈴木幹男）
　抗血栓療法・血栓溶解療法に伴う脳出血　（芝原友也，矢坂正弘）
　血管奇形による脳出血　（石原秀行，鈴木倫保）
　脳アミロイドアンギオパチー　（浜口　毅，山田正仁）
　無症候性脳出血とmicrobleeds　（大星博明）

V. くも膜下出血の治療
　くも膜下出血の診断と治療法の選択　（林健太郎，永田　泉）
　脳動脈瘤の外科的治療　（遠藤英徳，冨永悌二）
　脳動脈瘤の脳血管内手術　（片山正輝，菅　貞郎）
　遅発性脳血管攣縮の予防と治療　（中込忠好）
　未破裂脳動脈瘤の治療指針　（越智　崇，斉藤延人）

VI. リハビリテーション
　急性期リハビリテーションの進め方　（中館陽恵，里宇明元）
　回復期・維持期リハビリテーションの進め方　（松嶋康之，蜂須賀研二）
　脳卒中のクリティカルパス・地域連携パス　（橋本洋一郎，徳永　誠）

Case Study
　CASE　1　急性に局所神経徴候を発症し，MR にて右中大脳動脈閉塞が認められた65歳女性　（星野晴彦）
　CASE　2　軽度の麻痺，構音障害の一過性脳虚血発作（TIA）が先行し，その後麻痺が進行し，LSA 領域に一致した梗塞を生じた83歳男性　（山本康正）
　CASE　3　突然の頭痛後，難治性の高血圧を呈した50歳女性　（山脇健盛）
　CASE　4　前立腺癌に罹患中，DIC，多発性脳梗塞を呈した85歳男性　（野川　茂）
　CASE　5　前頭部痛，右片麻痺の発作を繰り返す5歳女児　（黒田　敏）
　CASE　6　ワルファリン内服中に急性の左片麻痺，意識障害を起こした63歳男性　（浜口　毅，山田正仁）
　CASE　7　突然の頭痛で来院し，頭部CT では異常を認めなかった66　歳男性　（菅　貞郎）

付録
　脳卒中治療ガイドライン2009（概要）　（安部貴人，高橋愼一，鈴木則宏）
　脳梗塞治療に用いられる主な薬剤

索引